〜暦とは〜

私たちが行っている研究は地球を取り巻く天体活動と深く関わっています。この研究をはじめるまでは暦についてあまり興味がなかったのですが、サンゴ礁生物の活動が月の周期性と深く関わっていることを目の当たりにして、暦に興味を持つようになりました。人類の長い歴史のなかで様々な暦が作られてきました。いずれも天体活動を基本にしていますが、どの天体を中心に置くかによって暦が変わってきます。ここでは、3つの(太陽暦、太陰暦、太陽太陰暦)暦を紹介したいと思います。


太陽暦

私たちが日常の生活に使っている暦は太陽暦(グレゴリオ暦、新暦)です。これは地球が太陽の周りをまわる1年の周期を基本としています。地球の自転で起こる一日を365回繰り返すことで1年となります。日本では1873年(明治6年)1月1日に、それまで使われていた天保暦(旧暦)から改められました。


太陰暦

 月にちなんだ暦もあります。これは月の満ち欠け(月齢)を基本としたものです。一ヶ月は約29.4日となります。イスラム教の世界で使われている暦でヒジュラ暦(イスラム暦)と呼ばれています。この暦は月齢に完全に一致しており、一ヶ月が29日の月と30日の月が交互に繰り返されていきます。一日の始まりは日没になります。1年は354日となり、私たちが使っている太陽暦からは一年ごとに11日ずつずれていき、季節を反映しません(33年で季節が一巡します)。我々が良くしているイスラム月はラマダーンで、この月にイスラム教の人々は日の出から日没までの間は飲食をいっさいしません。

イスラム暦
順番
月名
日数
第1月
ムハッラム 
30日
第2月
サファル 
29日
第3月
ラビーウ=ル=アウワル
30日
第4月
ラビーウッ=サーニー
29日
第5月
ジュマーダー=ル=ウーラー
30日
第6月
ジュマーダー=ル=アーヒラ
29日
第7月
ラジャブ
30日
第8月
シャアバーン
29日
第9月
ラマダーン
30日
第10月
シャウワール
29日
第11月
ズー=ル=カアダ
30日
第12月
ズー=ル=ヒッジャ
29日または30日

 この暦は月の満ち欠けや潮汐を良く反映しており、季節変化の少ない地域の漁師にとっては有用な暦と思われます。


太陰太陽暦

 さて、私たち日本人は太陽暦を採用する前は、太陰太陽暦(天保暦)を使っていました。この暦は太陰暦と太陽暦のいわば折衷案です。太陰暦では季節は全く関係なくなり、四季のはっきりした日本にはなかなかなじむことができないし、また太陽暦では月の満ち欠けが全くなくなってしまい海洋民族である我々の生活とは一致しなかったのかもしれません。太陰太陽暦は、太陰暦を基本にしながら季節性も尊重するために閏月を適宜挿入したものです。月の動きが基本となるために一ヶ月は29日もしくは30日になります。閏月を19年に7回挿入すると誤差なく暦を運用できることが古くから知られ、世界各地で行われていました。

 閏月を挿入するということは一ヶ月季節がずれる場合があり、これでは自然の営みと季節感に差が出てくる不都合があります。そこで、天球上の太陽の軌道を24等分(空間分割)して二十四節気という季節を表す目標を置き、季節を補正していました。まず、二至(夏至と冬至)と二分(春分と秋分)を決定し、その後に八節(二至と二分に立春、立夏、立秋、立冬を加えたもの)を加えて、更に細分化したものです。日付は月の満ち欠けで、そして季節は二十四節気でわかるようになっていました。昔の人はすごいですね。

二十四節気
立春
りっしゅん
2/4頃
この日から立夏の前日までが春
雨水
うすい
2/19頃
空から降るものが雪から雨に替わる頃、深く積もった雪も融け始める
啓蟄
けいちつ
3/6頃
啓蟄は冬眠をしていた虫が穴から出てくる頃という意味
春分
しゅんぶん
3/21頃
この日をはさんで前後7日間が彼岸
清明
せいめい
4/5頃
清浄明潔の略
穀雨
こくう
4/20頃
田んぼや畑の準備が整い、それに合わせるように、柔らかな春の雨が降る頃
立夏
りっか
5/6頃
この日から立秋の前日までが夏
小満
しょうまん
6/6頃
陽気がよくなり、草木などの生物が次第に生長して生い茂るという意味
芒種
ぼうしゅ
6/6頃
稲の穂先のように芒(とげのようなもの)のある穀物の種まきをする頃という意味
夏至
げし
6/21頃
一年中で一番昼が長い時期
小暑
しょうしょ
7/7頃
梅雨明けが近く、本格的な暑さが始まる頃
大暑
たいしょ
7/23頃
最も暑い頃という意味
立秋
りっしゅう
8/8頃
この日から立冬の前日までが秋
処暑
しょしょ
8/23頃
処暑は暑さが止むと言う意味
白露
はくろ
9/8頃
野には薄の穂が顔を出し、秋の趣がひとしお感じられる頃
秋分
しゅうぶん
9/23頃
暑い日は減り代わりに冷気を感ずる日が増える。昼と夜の長さがほぼ同じになることで、この日は秋彼岸の中日
寒露
かんろ
10/8頃
冷たい露の結ぶ頃。秋もいよいよ本番
霜降
そうこう
10/23頃
北国や山間部では、霜が降りて朝には草木が白く化粧をする頃
立冬
りっとう
11/7頃
この日から立春の前日までが冬。日は短くなり時雨が降る季節
小雪
しょうせつ
11/22頃
陽射しは弱まり、冷え込みが厳しくなる季節
大雪
たいせつ
12/7頃
朝夕には池や川に氷を見るようになる。大地の霜柱を踏むのもこの頃から
冬至
とうじ
12/22頃
一年中で最も夜の長い日
小寒
しょうかん
1/5頃
この日は寒の入り、これから節分までの期間が「寒」である
大寒
だいかん
1/20頃
一年で一番寒さの厳しい頃

このページは作り始めたばかりです。自分自身で勉強して今後詳細なページにしていきます(2007.03.11)。